コンコンと乾いたせきが出る、せきこむ方向けの漢方薬
漢方では、肺はいわゆる呼吸(酸素と二酸化炭素の交換)だけでなく、2つのはたらきがあると考えます。ひとつが「気(き)」「水(すい)」が外に向かって出る、あるいは上に向かって上がる、というはたらき。外向きに発散するイメージから、これを「宣散(せんさん)」と呼びます。もうひとつが、肺の内側に取り入れた「気」や「水」を下に向かって下げていくはたらきで、これを「粛降(しゅくこう)」と呼びます。
呼吸の場合、漢方では単なる空気ではなく「気」の流れとして考えます。外向きに「気」が流れる、内向きに「気」が入ってくる。空気の出し入れを「気」の動きとしてとらえるわけです。
健常な方なら、この「気」の出し入れを健全に保てます。しかし、乾燥などの影響で出し入れのバランスが乱れてしまうと、せきこむような症状となります。漢方では、この出し入れのバランスを整えることでせきを鎮めようと考えます。また、肺のうるおいがなくなると、エネルギーが弱って「気」が乱れることで、せきが出てしまいますが、体がうるおえば、肺もうるおいせきが止まると考えます。
「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」は、「気」の通り道である気管全体をうるおして、からぜきなどに効果を発揮する処方です。からぜきが続く、のどにたんがひっかかるような感じがして不快、といった症状の方におすすめできる漢方薬です。
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