麦門冬湯 ばくもんどうとう【第2類医薬品】
麦門冬湯
ばくもんどうとう
15日分 5,550円 税込6105円 店頭にて
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麦門冬湯
ばくもんどうとう
30日分 11,000円 税込12100円

コンコンと乾いたせきが出る、せきこむ方向けの漢方薬

漢方では、肺はいわゆる呼吸(酸素と二酸化炭素の交換)だけでなく、2つのはたらきがあると考えます。ひとつが「気(き)」「水(すい)」が外に向かって出る、あるいは上に向かって上がる、というはたらき。外向きに発散するイメージから、これを「宣散(せんさん)」と呼びます。もうひとつが、肺の内側に取り入れた「気」や「水」を下に向かって下げていくはたらきで、これを「粛降(しゅくこう)」と呼びます。

呼吸の場合、漢方では単なる空気ではなく「気」の流れとして考えます。外向きに「気」が流れる、内向きに「気」が入ってくる。空気の出し入れを「気」の動きとしてとらえるわけです。

健常な方なら、この「気」の出し入れを健全に保てます。しかし、乾燥などの影響で出し入れのバランスが乱れてしまうと、せきこむような症状となります。漢方では、この出し入れのバランスを整えることでせきを鎮めようと考えます。また、肺のうるおいがなくなると、エネルギーが弱って「気」が乱れることで、せきが出てしまいますが、体がうるおえば、肺もうるおいせきが止まると考えます。

「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」は、「気」の通り道である気管全体をうるおして、からぜきなどに効果を発揮する処方です。からぜきが続く、のどにたんがひっかかるような感じがして不快、といった症状の方におすすめできる漢方薬です。

特徴

肺を潤し咳を鎮め痰を切れやすくします

漢方の古典といわれる中国の医学書「金匱要略(きんきようりゃく)」に収載されている薬方です。粘膜や気道を潤し、からだに栄養を届ける機能を高める働きがあり、乾咳や、痰が切れにくく、のどにからんだりする時の咳、気管支炎に効果があります。熱によってからだの「水」(水分)を失い、乾燥している状態と考える事から、乾燥した環境で症状が悪化する方に適しています。

麦門冬湯の処方構成

麦門冬 半夏 粳米 大棗 人参 甘草

肺・気管支などが乾いていると、肺の働きはうまくいかず、激しい咳やのどのいらいらとなって現れます。ひどい症状だと血痰が出ることもあります。その症状を人参で肺・気管支をうるおすことによって熱を冷まし、麦門冬・半夏で咳のいらいらなどの症状を緩和することで改善します。

効能・効果

体力中等度以下で、たんが切れにくく、ときに強くせきこみ、又は咽頭の乾燥感があるものの次の諸症:からぜき、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声

用法・用量

次の量を1日3回食前又は食間に水又は白湯にて服用。

年齢 1回量 1日服用回数
成人(15才以上) 1包 3回
15才未満7才以上 2/3包
7才未満4才以上 1/2包
4才未満2才以上 1/3包
2才未満 1/4包

用法・用量に関連する注意

小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させてください。

成分

【成分】本剤3包(5.4g)中
麦門冬湯エキス散 4,650mg(バクモンドウ7.5g、ハンゲ・コウベイ各3.75g、タイソウ2.25g、ニンジン・カンゾウ各1.5g(添加物デキストリンを含む))

添加物:二酸化ケイ素、CMC-Ca、ステアリン酸Mg、セルロース

使用上の注意
  • 相談すること
    1. 次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
      (1)医師の治療を受けている人
      (2)妊婦又は妊娠していると思われる人
      (3)水溶性の痰の多い人
      (4)高齢者
      (5)次の症状のある人
        むくみ
      (6)次の診断を受けた人
        高血圧、心臓病、腎臓病
    2. 服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
      消化器 食欲不振、胃部不快感
    3. まれに下記の重篤な症状が起こることがある。
      その場合は直ちに医師の診療を受けてください。
      間質性肺炎 階段を上ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空せき、発熱等がみられ、これらが急にあらわれたり、持続したりする。
      偽アルドステロン症、ミオパチー 手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。
      肝機能障害 発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振等があらわれる。
    4. 1カ月位(からぜきに服用する場合には1週間位)服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
    5. 長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください

保管方法

(1)直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい所に保管してください。(ビン包装の場合は、密栓して保管してください。なお、ビンの中の詰物は、輸送中に錠剤が破損するのを防ぐためのものです。開栓後は不要となりますのですててください。)
(2)小児の手の届かない所に保管してください。
(3)他の容器に入れ替えないでください。(誤用の原因になったり品質が変わります。)
(4)使用期限の過ぎた商品は、服用しないでください。
(5)水分が錠剤につきますと、変色または色むらを生じることがありますので、誤って水滴を落としたり、ぬれた手で触れないでください。
(6)6錠分包の場合、1包を分割した残りを服用する時は、袋の口を折り返して保管してください。なお、2日を過ぎた場合には服用しないでください。

  麦門冬湯 中医学解説
【効能】 滋陰益気・補益肺胃・降気
【適応症】 慢性の炎症や消耗性疾患により気道や胃の分泌液不足が生じたものに用います。
慢性の咳嗽(咳こんでなかなか止まず顔が紅潮することが多い)・咽喉の乾燥感と刺激感・少量の粘痰あるいは無痰・口渇などの肺陰虚の症候と、息ぎれ・疲れやすいなどの気虚の症候がみられる気陰両虚に用います。舌質は紅で乾燥・舌苔は少い・脈は細数。

口渇・咽の乾燥感・乾嘔・吃逆・食欲不振・便がかたいなどの胃陰虚の症候に、元気がない・疲れやすい・息ぎれなどの気虚の症候をともなう胃気陰両虚に用います。舌質は紅で乾燥・舌苔は少いあるいは半載剥苔・脈は細数。肺胃の両面の症候が同時にみられることも良くあります。
【類方比較】 半夏厚朴湯:咳は反射性のはげしい咳ではなく、咽頭に何かつまった感じ(咽中炙臠)である。神経質な傾向があります。
五虎湯:喘鳴と咳漱が強く、口渇、発汗があります。(熱性の咳)
小青竜湯:痰が多く、噛息のある咳(寒湿の咳)。
【解説】

麦門冬で肺胃の陰液を滋潤して熱を冷まし、粳米・大棗・甘草・人参で補気健脾・清津して麦門冬を助けます。辛温で燥性の半夏を加えると、滋潤薬により半夏の燥性と温性が消失し、半夏の燥性により滋潤薬の粘滞性が除かれ、半夏のもつ降逆下気の効能により咳を止めます

【治療の現場から】

炎症が強いときは白虎加人参湯を合方します。
便秘して肝欝が強くみられるときは大柴胡湯を合方します。

  咽頭の乾燥感
切れにくい痰の症状があるときによく使用します。
※この目標に必ずしもこだわる必要はありません。
【使用上の注意】 軟便、下痢のもの。痰が多いものには原則使用しません
【臨床応用】 慢性気管支炎・慢性咽喉炎・肺結核・気管支拡張症・慢性胃炎・萎縮性胃炎・熱病の回復期などで、肺胃の気陰両虚を呈するものに使用します。
添付文書