まず、漢方では、腹痛や腹部膨満感などの不快感を伴う便秘、あまり不快感を伴わない便秘を分けて考えます。
不快感を伴う便秘の原因は、腸の「気」の流れをさまたげる熱や「気」が停滞していると考えています。余分な熱は、脂っぽいものや辛いもの、甘いものをよく食べることによって発生しやすく、この熱は便を乾かしてしまいます。そのため、便が出にくくなります。
また、たまった熱は体の上部へと昇るので、ニキビなどの肌トラブルを引き起こす要因にもなります。ストレスや緊張、不安などは腸の「気」を停滞させやすく、胃腸の動きが弱くなって便秘しやすくなります。
一方、あまり不快感を伴わない便秘は、腸の「気」が不足することのほか、「血(けつ)」や「水(すい)」が不足してうるおいがなくなることによっても起こります。産後や加齢など、「気」「血(けつ)」を消耗してしまった状態で起こると考えられています。
また、便秘と下痢を繰り返す状態は、腸の「気」「血(けつ)」のバランスが乱れている状態と考えます。ストレスや生活習慣の乱れなどにより、「気」「血(けつ)」のバランスが乱れると、消化・吸収がうまくいかなくなったり、腸のはたらきがうまくいかなくなったりするのです。