じんましんについて

じんましんとは?

じんましん(蕁麻疹)とは、皮膚の一部が突然、蚊に刺されたように盛り上がり、短時間で跡を残さず消えてしまう皮膚の病気です。赤みや強いかゆみを伴いますが、たいていは数十分〜1日以内に治まります。原因を特定できるじんましんは全体の1〜3割ほどで、多くの場合、原因ははっきりわかりません。原因はわからなくても、抗ヒスタミン薬の内服などによって症状を抑えることができます。

原因は?

特定の刺激(食物などのアレルギー反応として起こる場合や、圧迫などの物理的刺激、発汗など)が原因・誘因となるじんましんと、直接的な原因がはっきりわからないじんましんがあります。

1度だけ症状が出たり数日内で治まる「急性じんましん」と、原因が特定できず、1か月半以上、皮疹が出たり消えたりが続く「慢性じんましん」と呼ばれるタイプがあり、後者は数か月〜数年にわたって続くこともあります。

じんましんを起こしやすくしたり悪化させたりする因子として、ストレス疲労体調不良、かぜなどの感染症月経などがあげられます。

人から人へうつることはありません

甲状腺疾患や膠原病などの病気が原因で現れるじんましんもあります。この場合、医療機関での精査が必要です。

<じんましんの原因・誘因の例>
食物 魚介類(サバ、エビ、カニなど)、卵・乳製品(鶏卵、牛乳、チーズなど)、肉類(豚肉、牛肉、鶏肉など)、穀類・野菜(大豆、小麦、蕎麦など)
食品添加物 人工色素、防腐剤(パラベンなど)
薬剤 抗生物質、非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)、せき止めなど
植物・昆虫 イラクサ、ゴム、ハチ など(触れる・刺される)
感染症 寄生虫、真菌(カビ類)、細菌、ウイルス
物理的な刺激 下着などによる摩擦や圧迫、こすれ、寒冷・温熱刺激、日光など
その他 運動や発汗(特定の食品や体質などと組み合わさって原因となる)
内臓・全身の病気(甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、膠原病など)
疲労・ストレス(身体的・精神的なもの)
どんな症状?

蚊に刺されたような、赤みをもった膨らみ(膨疹(ぼうしん))が現れます。膨疹の大きさはさまざまで、膨疹同士がつながり、地図のように広がることもあります。

一つひとつの膨疹は、通常は24時間以内に、跡を残さず消えてしまいます。

強いかゆみに加え、チクチクする焼けるような感じがすることもあります。

じんましんが現れる部位はさまざまで、顔を含め全身のどの部位にも起こりえます。

慢性じんましんでは、夕方〜夜間にかけて症状が出たり悪化しやすいことが多く、だいたい決まった時間に出る人もいます。

対処・予防法は?

特定の食品で起こる場合は、その食品を避けるようにします。摩擦や圧迫などの刺激で繰り返し出る場合にも、それを避けるようにします。

患部を冷やしたり、市販のかゆみ止めを利用することはかゆみの軽減に役立ちます(ただし寒冷刺激でじんましんが出る場合には、悪化するため冷やさないでください)。

じんましん自体の治療には、抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬の内服が有効です。医療機関(皮膚科)を受診し、医師に相談しましょう。

じんましん以外に、意識の低下や呼吸困難など複数の症状が現れた場合には、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤なショック症状の可能性があるため、早急に受診が必要です。

蕁麻疹Q&A

  • 病院は何科にいけばよいですか?

    基本的には皮膚科ですが、膠原病(こうげんびょう)などの病気で蕁麻疹がでていることがありますので、大人なら内科、子どもなら小児科でもよいでしょう。

  • 蕁麻疹はうつりますか?

    感染によるものではないため、蕁麻疹自体に感染源はなく、うつることはありません。ただし、感染性蕁麻疹というウィルスや細菌に感染することで発症する蕁麻疹もあります。

  • 蕁麻疹は顔にもでますか?

    全身にでます。顔にもでますし、身体のどこにでもでる可能性があります。光蕁麻疹の場合は、光が当たりやすい顔にでていることもあります。

  • 蕁麻疹体質は治りますか?

    蕁麻疹の原因によります。アレルギー体質についてはよくなる場合、変わらない場合とさまざまです。
    食物が原因になっている場合、卵などはよくなることがありますが、甲殻類、ソバなどは治りにくいことがあります。特発性蕁麻疹は原因不明ですので、再発を繰り返すことがあります。遺伝性の蕁麻疹もありますので、治るかどうかは原因にもよります。

  • 蕁麻疹のおさまる時間はどれくらいですか?

    数分から数時間で症状がおさまり、多くは24時間以内に治ります。反対にいうと、24時間以上症状が続けば、蕁麻疹でない可能性があります。ただ、ある個所にでてから別の個所にもでてきて、24時間で移動したように見える蕁麻疹がでることがありますが、その個所での症状は24時間以内に消失します。

  • 蕁麻疹と肝臓の関係はありますか?

    2つの意味があるかもしれません。肝臓の病気によって起こる蕁麻疹と肝臓での代謝に影響するアルコールなどによる蕁麻疹です。膠原病や感染症によって起こる蕁麻疹では肝臓に含まれる酵素AST、ALTが上昇します。肝臓に負担がかかった結果、蕁麻疹になるのか、その因果関係の証明は難しいといえますが、一部に肝炎という感染症にともない起こる蕁麻疹があります。

  • 蕁麻疹のかゆみにはどう対処すればよいですか?

    とにかくかゆい、という場合は、かゆみを軽減するために患部を冷やす方法があります。ただし、寒冷蕁麻疹では禁忌です。そのため、外用薬を冷やして使うようなことも控えましょう。腫れている場合も同じです。この場合、症状を鎮めるためには一般的に抗ヒスタミン薬を内服します。
    また、原因不明の蕁麻疹を繰り返す場合は、継続的な内服薬を含めた治療が必要になります。

  • 蕁麻疹の原

  • 蕁麻疹の原因になるものは今後、食べられないのですか?

    食べたいものが食べることができなくて辛い、という声もよく耳にします。蕁麻疹の原因になる食材については、基本は遠ざけることです。ただし、食材によっては、経口免疫療法という継続的に経口摂取することで、食べられるようになる場合もあります。

参照元:『じんましんの「真」常識』清益 功浩(医薬経済社)
食べ物による痒みに注意!!

食物によるかゆみは、大きく分けてアレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。

アレルギー性のものは、 摂取した食物がアレルゲンとなって、アレルギー反応を起こすものです。 代表的なものは、卵、乳、小麦、そば、落花生です。

非アレルギー性のものは、 かゆみを引き起こすヒスタミン様物質が含まれていることによって 起こります。 代表的なものは、サバ、マグロ、サケ、タラ、イカ、タコ、エビ、アサリ、 豚肉、サラミ、ソバ、タケノコ、マツタケ、イモ、ほうれん草、ナス、 トマト、ワイン、ビール、イチゴ、チョコレートなどです。

湿疹体質の方や蕁麻疹が出る人は、このような食べ物を食べるとかゆみが増強します。
さらに、食物の中に含まれている色素・防腐剤・添加物も、かゆみの誘発をしますので注意が必要です。
食べ物によるかゆみが疑われた場合は、 食事日記を書くと症状の悪化との関連がよくわかることがあります。 食事の内容と症状を記載するノートを見ることで 因果関係がわかることがあります。
お子さんの肌の調子と食物との関連を心配されるお母さんには、この方法をおすすめしています。