亀田六神丸のルーツは、中国。清朝の初期(17世紀半ば)とされています。六神丸の名前の由来は、中国で古くから信じられてきた四方の守護神、青龍(東)、白虎(西)、朱雀(南)、玄武(北)の四神に上下の勾陳、騰蛇を加えて六神と呼んだことから、この神々の名を取り六神丸と称したといわれています。一方で、五臓六腑から来ているという説もあります。
主要原料の一つ、麝香は、主に中央アジアや中国に生息する麝香鹿から採取します。日本の鹿とは異なり、小型で夜行性の習性を持ち、黒褐色の体毛で被われ、牡・牝ともに角はありません。麝香は牡の腹部の陰嚢に近い部分に袋があり、その中の包皮腺から分泌されています。強い香気は牡が牝を誘う“フェロモン”で、初冬の発情期に最も分泌量も増え、匂いもピークに達します。化学分析によると麝香の成分は、ナトリウム・鉄などのミネラルをはじめ、アンモニア化合物、アミノ酸、香気成分ムスコン、アンドロスタン誘導体、男性ホルモンなどです。 薬理作用は、中枢神経興奮作用、呼吸器系や、循環系神経の興奮作用、血圧降下作用、男性ホルモン様作用、抗炎症作用などが明らかにされています。「亀田六神丸」はこの麝香を主成分とする心臓・胃腸薬です。
「亀田六神丸」はゴマ粒大の丸薬です。口に含むとやや苦みが伝わり、そのまま溶けるに任せると舌がしびれを感じるのは蟾酥の作用で、すみやかに飲み下してください。舞台に上がる前にそっと「亀田六神丸」を口に含むタカラジェンヌがいらっしゃいます。あがりを止める“気つけ”として使用されている方もいらっしゃいます。