ねあせ 寝汗 盗汗 |
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ねあせは「盗汗」「寝汗」ともいい、夜間睡眠中に汗をかき、眼が覚めると汗が止まることをいいます。ただし一般的にはこの判断が難しく、単に夜間に汗をかくことを「ねあせ」ということが多いので、本項でもこれに従います。夜間には体表部を保護している衛木(陽気)が体内(裏)に入り、太陽が地平線に沈むように陽気が陰に入ることによって眠るので、眠っている間は体表を固護する衛気の機能が不足します。睡眠時に布団などの寝具や寝間着などを使って寝ないと風邪を引きやすいのは、このためです。ねあせは「衛気の固護が不足する」という生理的反応にもとづいて発生するのです子供が寝入りばなにかく汗や、蒸し暑い夜にかく汗は、生理的な反応ですからここには含めません。またかぜひき・熱病などでみられるねあせも、主要な症状ではないので割愛します。
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心血虚 |
過度の心労によるねあせ、動悸・眠りが浅い・夢をよくみるなど。 |
過度の心労で心血が消耗し、心血が不足するために心気も衰えて衛気が不足し、夜間睡眠中の体表を固護する力がより不足するために、心液のあせが外に漏れてねあせをひきおこす病態です。 |
症状 |
ねあせとともに、動悸・眠りが浅い・夢をよくみる・舌質が淡・脈が細いなどが見られます。 |
治法 |
心血を滋養して心気の衰えを防ぎ、汗が外に漏れないように収斂する「補血養心・斂汗」を行います。 |
主な薬物 |
補血養心の当帰・竜眼肉・酸棗仁、益気により生血を促す人参・黄耆・白朮、斂汗の竜骨・牡蛎・五味子など。 |
方剤例 |
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陰虚内熱 |
慢性病などでからだの液体物質が消耗して、機能が相対的に余って内熱を生じ、頻繁なねあせ・るい痩・熱感・手足のほてりなどが現れる。 |
慢性病・熱病・性生活の不摂生などで陰精を消耗し、陰精が虚したために陽気が相対的に旺盛になって内熱を生じ、衛気が裏に入る夜間睡眠中には内熱がより旺盛になり、体表を固護する力の不足に乗じて内熱を外散するとともに津液を外に漏らすために、ねあせが生じる病態です。肺結核が代表的です。 |
症状 |
頻繁な寝汗があり、るい痩・からだの熱感・手足のほてり・頬部の紅潮・夢精・月経不順・舌質が紅・舌苔が少ない・脈が細く速いなどが見られます。 |
治療法 |
陰精を滋潤して内熱を清し、衛気を補って汗が外に漏れるのを止める「滋陰清熱・固表止汗」を行います。 |
主な薬物 |
滋陰清熱の生地黄・玄参・天門冬・麦門冬・亀板・鼈甲、少量の清熱のオウゴン・黄柏、固表止汗の黄耆・竜骨・牡蛎など。 |
方剤例 |
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当帰六黄湯湯(当帰・生地黄・熟地黄・オウゴン・黄柏・黄連・黄耆) |
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表衛不固 |
ねあせのほか日中も汗をかく・元気がない・かぜをひきやすい。 |
先天的虚弱者・老化・慢性病などで衛気が不足して表を固護することができず、衛気が裏に入る夜間にさらに体表の固護が不足するために、津液が漏れてねあせが生じる病態です。さらに進行すると、陽気の温める機能が衰えて陽虚の虚寒をともないます。 |
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症状 |
ねあせだけでなく、日中にもよく汗をかき、元気がない・疲れやすい・かぜをひきやすく治りにくい・脈が無力などの気虚の症状が見られます。陽虚ではさらに冷え・寒がる・うとうとする・舌質が淡白・脈が遅いなどをともないます。 |
治療法 |
陽気を補って衛気を強め表を固護する「益気固表・温陽固表」を行います。 |
主な薬物 |
益気固表の黄耆・人参・白朮、止汗の麻黄根・牡蛎・竜骨、温陽の桂枝・附子など。 |
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方剤例 |
益気固表 |
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温陽固表 |
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湿熱擾動
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首から上にじっとりした汗・口が粘る・からだがだるい・むくみ・吐き気・腹満など。 |
飲食の不摂生・飲酒癖・精神的ストレスなどで、脾胃の運化が失調して水湿が生じ、長期間停滞して化熱して湿熱となり、夜間には衛気が裏に入って湿熱と相争すると邪熱が強くなるために、固護の不足に乗じて邪熱が津液を外に漏らしてねあせが発生する病態です。 |
症状 |
じっとりしたねあせ(首から上に多い)とともに、口が粘る・からだが重だるい・むくみ・吐き気・腹満・尿が濃い・黄色くべっとりした舌苔などの湿熱の症状がみられます。 |
治療法 |
熱を冷ますと同時に湿邪を発散したり尿として除く「清熱利湿」を行います。 |
主な薬物 |
清熱利湿のインチン・ヨクイニン・山梔子・滑石、清熱燥湿の黄連・オウゴン・黄柏、芳香化湿のカッコウ・厚朴・ソウジュツなど。 |
方剤例 |
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